ヒソカ対カストロ戦はヨークシン編以前においてHUNTER×HUNTER史上最もレベルの高い戦闘だった。この戦いでカストロが惨敗した理由は「メモリ(容量)の無駄使い」が原因だとされているが、それとは違った角度からカストロが敗れた原因について探っていきたいと思う。
定説に対する反論
先ほどもでも少し触れたが一般にカストロの敗因は「強化系能力者でありながらダブル(分身)という具現化系に属する能力を習得してしまったため」と言われている。しかし果たして本当にそうだろうか?
確かに系統の相性は非常に悪く、戦闘中に付着した血の色を再現することができないなど能力として致命的な弱点があったのは事実だ。しかしダブル(分身)を習得してもなお虎咬真拳(ここうしんけん) の威力は素晴らしくヒソカの腕をいとも簡単に引きちぎっていた。
この事実を見る限りカストロは具現化系能力を習得しながらも強化系能力者として一定の力を維持していたと考えられる。そう考えると「メモリの無駄使いのせいで能力者として開花しなかった」というのは必ずしも当てはまらないのではないか。
ヒソカに敗れた真因
私はカストロがヒソカに敗れた本当の理由は主に3つあると考えている。
1.実戦不足
ヒソカが百戦錬磨の使い手であるのに対しカストロは天空闘技場の闘士でしかなかった。戦いの様子を見る限りカストロは天空闘技場内で行われるルールありの戦いの経験しかないように見えた。
それがヒソカのトリッキーな戦法に対処できず勝機を失って相手のペースに飲み込まれてしまった最大の要因だと思う。
2.過去へのこだわり
カストロはかつて一度ヒソカに敗れている。その事がカストロに大きな影響を与えていることは間違いない。カストロはフロアマスターへの挑戦権をかけた試合をヒソカと組むことで過去の汚点を清算しようとしていた。
これはカストロの清廉な性格にも関わる話だが、カストロはただ勝つだけでなく「かつて自分が倒せなかった強者を倒す」ことに重きを置いていた。そのためヒソカに全力を出させることに固執し過ぎていた。
ヒソカがダブル(分身)に気付く前にダブルと虎咬真拳のコンボで致命的なダメージを与えていれば展開は大きく変わっていたはずだ。
3.ヒソカに対する誤った認識
一度対戦したことがあるにも関わらずヒソカの戦闘スタイルや人間性に対する認識を誤っていた点も戦いに悪影響を及ぼした。実戦経験の少なさに加えてこうした認識の誤りがヒソカの巧みな心理戦にはまってしまった原因だろう。