どうしてビスケはゲンスルーと戦わなかったのか

ファンの間でよく疑問に挙げられる場面の一つがグリードアイランド編でのクライマックスであるゲンスルー組との対決だ。作中では当然の流れとしてゴンとゲンスルーが対決していたが、本来ならばゴンよりも数段実力が上であるビスケがゲンスルーの相手をしたほうが良かったのではないか。

何故、わざわざ実力で劣るゴンが戦ったのだろうか。主人公だからという言葉で片付けずに一つずつ考えられる可能性について検討してみたいと思う。

仮説1=そもそもビスケでも勝てなかった

ビスケの実力がゴンとキルアよりも上である事は確かだが、ゲンスルーよりも強かったという確証は無い。ビスケの能力は戦闘用でないのに対してゲンスルーのリトルフラワーはまさに殺傷を目的とした能力だ。ツェズゲラも言っているがこの差は本人の念能力に対する姿勢を表しており、戦闘用の能力にする能力者とそうでない者の間には必然的に戦闘能力に差が出来るものなのだ。

そう考えるとジャジャン拳という一撃必殺の技を持っているゴンのほうが状況次第では勝利を収めやすいという理由からビスケとゲンスルーの対決は実現しなかったのではないか。

仮説1に対する反論

しかし本当にビスケはゲンスルーよりも弱いのだろうか。確かにビスケの能力は戦闘向きではないが、その分を補って余りある肉体的な強さと念に対する豊富な経験と知識がある。ゲンスルーとバラとの間にどのくらいの実力差があるのかは分からないが、ビスケのように一撃で致命傷を与えられるほどの差はないと考えるのが普通ではないのか。

また仮にビスケのほうが弱かったとしても、それがそのままゴンとゲンスルーが戦う理由にはならないだろう。ビスケが三人の中で一番の実力者である事は間違いないのだから、敗色濃厚だとしても最も勝つ可能性が高い人間がゲンスルーと対決すべきはずだ。

特にゲンスルーのリトルフラワーを防ぐためにはオーラの攻防力を素早く移動させる流の技術が不可欠になる。流は長年の修行がものを言う技術でビスケならばリトルフラワーに対してより上手く対処出来るに違いない。

以上の理由からビスケとゲンスルーの実力差どうこうは理由として不適切だと考えられる。よって再考を求められる。

仮説2=ゴンがゲンスルーを挑発したから

レイザーとの対決が終わった後、コンタクトを使って連絡してきたゲンスルーに対してゴンはかなり強い口調で挑発行為を行っていた。その時からゲンスルーはゴンをマークしており、ビスケが戦おうと思っても戦えない状態にあったのではないか。

特にゲンスルー組はカウントダウンの能力がある以上、三人固まって行動されると勝ち目が一気に薄くなってしまう。極端な話しで言えばゲンスルーがゴン達にボマーと言って触り、その後速攻で能力の説明をした後にリリースをしてしまえば勝ちなのだ。如何にビスケが実力者だろうとゲンスルーに一切触れさせないというのは不可能だろうし、そう考えると実際行ったように三人をばらばらにする事がゲンスルー組を倒す絶対条件になってくる。

そうなると全員がばらばらの方向に逃げる必要があり、そうなった時にゲンスルーはほぼ間違いなくゴンを追うはずなので、あらかじめゴンが戦うという方向だったのではないか。

仮説2に対する反論

ツェズゲラ達と別れてから直ぐにゴンはゲンスルーとの対決に向けて特訓を開始していた。しかしその時点ではどのような作戦でゲンスルー組と当たるかは考えておらず、三人がばらばらになって戦うとは決まっていなかったはずだ。

そう考えるとゲンスルーがゴンを追いかけるだろうという仮定をもとにした仮説は意味を持たないものになってしまう。全員が一か所に集まっているのであれば、もしゲンスルーがゴンに攻撃を仕掛けてもビスケがその間に割って入れば良いだけの事だ。ばらばらになって戦うと決めた後にゴンがゲンスルー対策の特訓を始めたのであれば分かるが、キルアが作戦を考え始めた時から既に特訓は始まっていた。

またゲンスルー達を一か所に集めたくないとは言ってもそれは三人一緒にという話しで、一人でも欠ければリリースは使えないのだから何も三人ともばらばらになる必要は無かったのだ。ゲンスルーがゴンと戦うだろうと予想しているのであれば、キルアだけバラなりサブなりを連れて別の場所に移動すれば良かったのだ。何もビスケまでゲンスルーから離れる必要はない。

まとめ

色々と検討してきたが(とは言っても二つだけだが)正直言ってピンと来る回答が思いつかない。もしかしたら富樫先生もそこまで考えてはいないのかもしれないが、それまでのHUNTER×HUNTERではこう言ったストーリーの流れそのものに対する不合理さは無かったように思えるのでもう少し掘り進めて言ったらそれらしい可能性が見えてくるのではないか。

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